新しい不動産業研究所では、かねてから
「不動産業1.0から4.0」
「不動産業の民主化1.0+(プラス)から4.0+(プラス)」
という2つの軸のマトリクスをフレームワークとして、既存の不動産業、建設業と比べて何が進んだのか、何を広げたのかについて考えてきました。
今回は、改めてポジションマップを示した上で、それぞれのポジションの意味と役割についてお伝えしたいと思います。

「新しい不動産業研究所」プロジェクトの価値

このプロジェクトが提供したい価値は以下の通りです。
・地域の不動産・建築業者が地域課題の解決に貢献しながら事業を成長させて企業として生き残ること
・地域を元気にしてゆく、そんな存在になるための可能性を持った知恵を集めて共有すること

企業の価値を高める上でブランドは重要です。企業ブランディングという活動は、分解すると

独自性(そこにしかない、ここでしかできない)

一貫性(いつでも、誰でも、どこででも)

認知(自分以外のみんなもそうだと思っている)

これら3つの要素を、時間をかけて徐々に蓄積し、築き上げ、獲得・構築してゆく活動です。3つの要素の獲得・構築は簡単ではありません。例えば、一貫性の蓄積と認知の構築は、人材教育(インナーブランディングと言います)と SNSを含めたプロモーションを「継続」すること、つまり「自ら動けば」徐々に蓄積はできますが(もちろんそれだって簡単ではありません。特に人材教育は難しいです)「独自性」の獲得と発揮はもっと難しいものです。

だからこそ、みんなで学び合う、教え合う、使い合う中で自社にあった独自性を獲得、発揮してゆくことが求められるのです。そうしたことを考えた時に立ち上げたのが「新しい不動産業研究所」プロジェクトです。この研究所はまさに「みんなで学び合う、教え合う、使い合う」ための場所であり機会なのです。不動産業や建設業は地域に根ざした仕事です。他地域で既にある取り組みも自分の地域では「独自」にしやすい 、これも学び合う、教え合う。使い合うという考え方にマッチしています。

ポジションマップは「差別化戦略」である、という見方

新しい不動産業研究所のイベントの中でも繰り返しお伝えしてきましたが、1.0から4.0の「数値」は「上下」や「優劣」を示すものでは決してありません。ただ単に仕事に対する「取り組み方」と「取り組み手法の多様さ」の違いです。自社は 1.0だから、とかという見方はする必要はありません。ただし、1.0や2.0の領域には多くの競合がいること、そして3.0や4.0、あるいは3.0×3.0+(プラス)のポジションにいる競合は少ない、ということは言えると思います。それは言い換えれば、競争の激しい市場の中で、自社の独自のポジションを気づく手法になりうるということでもあります。

既存の不動産業・建設業の「課題」

初めに答えを示すと、業界が設定すべき課題は「領域拡大」と「民主化」です。冒頭のポジションマップの一番左下、すごく極端ですがこのポジションの中では自社が管理する物件、自社が仲介する物件、自社の計画する分譲プロジェクトやテナントビル「だけ」が成功するような取り組みをなんとか考えたい、そんな視点と発想に「とどまっている」企業であり、このポジションにとどまる企業は多いのではないかと私たちは考えています。

人口減少や高齢化などによって業界の競争環境はますます激しくなることは明らかです。そうした環境変化への対策として、自分の物件「だけ」を考えることをあえてやめて、目線を上げて地域課題の解決という新しい価値を意識することを私たちは提案します。

土地・建物を含め不動産は地域の資源です。その活かし方、使い方でヒト・モノ・カネの流れを変え地域を元気にすることができる経営資源です。にもかかわらず、ユーザーの声に関心を寄せず、時代の変化に適応させることもないような使い方をしていては地域資源の無駄使いです。

地域課題の解決のために地域資源を活かすことで結果的に自分の物件を活かす道を探る、これが地域のプロである不動産業・建設業にかけられた期待です。この期待に応えるための手段として業の「領域拡大」と「民主化」が有効だと考えています。

業の「領域拡大1.0から4.0」と業の「民主化1.0+(プラス)から4.0+(プラス)」

1.0から4.0は「領域」の話です。1.0と2.0は仲介、管理、請負、分譲企画など既存の不動産業の領域です。強調したいことは、この領域にとどまっている事が問題ではないということです。
一つの領域にとどまっていることが問題ではなく、同じ領域の中での仕事の進め方に革新があるかないか、これが新しい不動産業研究所が設定した課題です。

1.0+(プラス)から4.0+(プラス)は「民主化」の話です。民主化とは、取り組み可能なやり方を広げて、地域の資源である不動産の活かし方や使い方を変えて、地域の中で動くヒト・モノ・カネの流れを起こし地域を元気にするための方法を考える視点です。

ですので、ここには「具体的な方法」や「セオリーとなる考え方」といった指標は示してありません。あるのは自分のストック、地域のストックを活かしながら地域課題の解決をすると言う「目的」があるかどうかです。まずはできることから、ぜひ新しい不動産業研究所で一緒に学び合う、教え合う、使い合う仲間として活動していきましょう。

これまでの「ツール」

以下はこれまで会員様に公開してきたツールです。今後も本記事にアーカイブしてまいりますので、本記事をブックマークしていただければ、いつでも過去のツールをご確認いただけます。