「#新しい不動産業 Meetup」の3日目が、2022年3月13日、目黒のM-Hausで開催された。不動産をおもしろく扱っていかないといけない、というのは業界を知るスペシャリストが語る共通点だ。みんなで変わっていこう。時代は変わったんだ。 

※ 研究所会員は全てのセッションをノーカット映像でご覧いただけます。

「新しい賃貸住宅」の傾向は、駅近対価以外の価値

はじめに、全国賃貸住宅新聞社の永井ゆかりさんから話題提供。新しい価値をとりいれる賃貸住宅には、2つの傾向があるのではないか。

都心でなくても、駅から近くなくとも、入居者が決まる「小商い可能賃貸住宅」。1階でお店を経営しながら、2階に住まう。イベントも行われ、まちに開かれた雰囲気だ。事務所兼用もよいだろう。駅からのアクセス云々ではなく、この賃貸住宅に住む理由が明確であることが重要。

もうひとつは、ホテルのサービスアパートメント事業。これが好調だそうだ。コロナ禍で、ホテルのサービスとしてマンスリー化が出てきた。全国に拠点がある場合には、定額住み替えサービスも行われる。コロナ禍で顕在化したものであって、ニーズはきっとあったのだろう。コロナ禍で住まい手のニーズが明確となった。特徴が求められる時代だ。

池本氏が赤裸々に語る、居住用不動産の活用

つづいて、株式会社リクルートSUUMO編集長であり、リサーチセンター長の池本洋一さん。自宅以外に、京都に築130年の町屋物件を所有している。マンスリー賃貸として運用し、ご自身の利用は年間1/3くらい。しっかりと稼働しているとのこと。自分の好きなようにリノベーションし、自分の欲しいものをつくれば、価値が出るのではないかと言う。軽井沢、品川高輪など、複数箇所でもリノベをし、宿や、リレントとしても運用。必要な時に自身は使いつつ運用している。管理のあり方、貸し方の選択肢は多様になっていく。実践だ。
 

新しい賃貸住宅のカタチ、楽しく住める賃貸を増やす

次に、松本眞理さん(一般財団法人住宅改良開発公社 住まい・まち研究所所長)からの話題。データをいくつか見ていく。20年以上給与が続かない時代が続いている。4割が非正規雇用。世帯所得額も悪化。50歳以上では独居率が高くなっている。持家率が向上し、負債は増える一方、賃貸業界は世界的にもても小さいものだ。

賃貸物件で遮音性や断熱性への不満が高いことは明確であり、業界的に取り組むべきだろう。見えない質の発信が重要。英国の事例に学べることがある。公営住宅を払い下げ、持ち家化の推進や、住宅の半分を購入して半分を賃貸する、シェアードオーナーシップ。全体を法人が管理しながら住戸単位で売買を進めるフリーホールド、リースホールド。具体例を交えて案内。住宅が住まい手に寄り添う仕組みが必要だ。

賃貸住宅の変化、住まい手と大家さんの関係性の変化、全体の価値や、住まい手の主体性、組合の役割など、意見交換がつづく。オンライン化がポジティブにこの2年で動いたものの、業界の変化はさほどでもない。住まいへの注目は高まっているはずだ。程よいコミュニティへの関心は高まっている。入居者との関係など、プレイヤーが変わらないといけない。 #新しい不動産業研究所は、そのためのヒントを提供していくだろう。

#新しい不動産業研究所 は、不動産業界へのニーズの多様化に応じて、不動産の価値を高め、枠組みに縛られることなく、新しい事業領域へのチャレンジを推進しています。
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●登壇者紹介

池本 洋一 (いけもと・よういち)

株式会社リクルート SUUMO リサーチセンター長
1972年滋賀県生まれ。1995年に上智大学新聞学科卒業後、株式会社リクルートに入社。住宅情報誌の編集、広告に携わる。住宅情報タウンズ編集長などを経て、2011年より「SUUMO」編集長を務める。リクルート住まい研究所 所長・SUUMOリサーチセンターセンター長を兼任。

永井ゆかり (ながい・ゆかり)

株式会社全国賃貸住宅新聞社 取締役
1975年、東京都生まれ。日本女子大学卒業。1998年「亀岡大郎取材班グループ」に入社。住宅リフォーム業界向け新聞、リサイクル業界向け新聞、ベン チャー企業向け雑誌などの記者を経て、賃貸不動産 オーナー向け経営情報誌「家主と地主」編集長、賃貸住宅業界向け新聞「週刊全国賃貸住宅新聞」編集長を歴任し、2004年、全国賃貸住宅新聞社取締役に就任、現在に至る。新聞、雑誌の編集発行の傍ら、家主・地主や不動産会社向けのセミナーでの講演活動を行う。本書が初の著書となる。2児の母。

福田和則(ふくだ・かずのり)

株式会社エンジョイワークス 代表取締役
1974年兵庫県生まれ。外資系金融機関勤務を経て、2007年エンジョイワークスを設立。行政や事業者任せにしない「まちづくりや家づくりのジブンゴト化」による豊かなライフスタイル実現をテーマに不動産及び建築分野において事業展開を行う。 2017年、空き家・遊休不動産の再生・利活用プラットフォームであるユーザー参加型クラウドファンディング「ハロー! RENOVATION」をリリースし、まち・ひと・お金の新たな関係性構築に取り組む。