「ここにしかない価値」が「フツー」にされてしまう。という危機感が行動の原点 会員情報 兵庫県 たつの市 株式会社緑葉社 0 #会員情報 #エリアリノベーション #空き家再生 #兵庫県 #たつの市 2022.06.16 畑本康介さんNPO法人ひとまちあーと 代表理事株式会社緑葉社 代表取締役株式会社MMD 代表取締役一般社団法人はりまのこ代表理事 ほか1982年生まれ。中学時代に地元和太鼓団体へ参加したことで地域活動を開始。播磨の地域活性化に寄与すべくイベント企画や芸術家村を運営する「NPO法人ひとまちあーと」を仲間と設立。2014年代表就任と同時に会社員を辞め起業。開発型の観光客誘致ではなく、住民の想いを尊重し、町の暮らしに焦点をあてた活動を行う。2015年に、まちづくりのための市民出資会社を引き継ぎ、古い町並みを残すための不動産業のほか、地域産業の活性化のための地域商社や、事業所内保育所の運営をしつつ地域企業とともに地域循環教育の実現を目指す教育組織なども仲間とともに設立する。 課題①:古き良きの風景や文化・伝統が軽視され、大切な風景が壊されつつあった解決策:投機的ではなく「まちへの投資」と理解してくれる善意の投資家を集めた課題②:スモール&ローカルの開発や転貸事業・物件管理の領域でビジネスチャンスがない解決策:街を愛するというビジョンと先人への尊敬を示すことで共感者を集客した結果:2015年から2021年の6年間で管理物件は70件以上。転貸契約は30件を数え、龍野の街に新規の事業が30軒ほど出店。(投資額に換算すると約3億円を呼び込んだことになる) 新しい不動産業研究所の矢部です。この記事ではすでに「新しい不動産業」が目指す人、まちそして不動産への関わり方を実践、ご活躍されている皆様の取り組みの紹介を通じ、研究所のメンバーに①気づきと②手法と③連携を生み出すためのnoteです。①取り組みを読んで「まずは真似してみる、やってみる」②取り組みで使われている手法やツールを「手に入れる相談をしてみる」③②も含め自分の事業について相談や協働依頼など「連携機会」など研究所メンバーに新たなビジネスチャンスを生み出すことが目的です。*今回ご紹介する取り組み・ツールに関してもっと知りたいことや、事業連携のご相談などがあればこちらよりお問合せください。 新しい不動産業の実践者・畑本さんのプロフィール元々は不動産業としては「ズブの素人」であった畑本さん。今の取り組みの起点は「独自の価値」を持つ地元・龍野が、フツーの街に変えられてしまいかねないことに対する危機感でした。龍野には「重伝建」に認定される街並み、老舗企業の存在、特産品として高い全国シェアを誇る地元産品など素敵な「ムカシ(の風景や文化、伝統)」があります。しかし、それらを放置し、大切にせず、今がよければ(しのげれば)良しとしてしまえば「ムカシ」は「ミライ(の風景、文化、伝統)」につながらない。フツーの建物への建て替えや商売を簡単に畳むような取り組みがさらに続出しかねない状況への危機感を畑本さんは持っていました。「新しい不動産業」視点で考えるキーワード#不動産業1.0#不動産業2.0#不動産業の民主化4.0+#現在の事業領域を深める#重伝建#不動産管理業#家守解説。畑本さんの実践 ムカシとミライを繋ぐために「不動産を扱う仕事につく」畑本さんは、実際に自分の目の前で「ミライ(の風景、文化、伝統)」につながらないフツーの建物への建て替えや商売を簡単に畳むような取り組みに遭遇します。しかし、当時は不動産どう取り扱うのが良いのかに関する知識が全くないことで、大切な風景(街並み)の一部である建物が現代風の建物に建て替えられてしまうことに対して何もできませんでした。もし自分が不動産を利活用するアイデアや力を持っていれば、何かできたのでは。それがきっかけとなって「不動産業」というものを意識されました。ちなみに、不動産業に関心を持ち始める前の畑本さんの「まちづくり」活動は、主に思い出作りイベントから関係性を生み出す仕掛けをしていました。しかし、これも安定的な収入をもたらしにくく、また持続的な取り組みとしても弱いものでした。加えて、当時の畑本さんには確たる(安定的な)収入もありませんでした。こうしたことも畑本さんが「不動産」を事業として扱うことができるようになるぞ、と言う動機の高まりにつながっていました。「ビジョン実現代理人」として街の人々に関わり、街に関わり、人々を投資家として巻き込む不動産業を事業とする起業を町衆に相談する中で、偶然にも事業承継の好機を得ました。それが今の緑葉社の引き継ぎです。起業にあたって経営方針として畑本さんが決めたことは次の3つのです。①事業を作る上で出資は市民出資とし、特定の資本家の利益のための取り組みではなく龍野のムカシとミライを繋ぐビジョンに共有する人の志に支えられること②過剰な経済規模を求めない事業として管理業(空家の適正管理)を中心とすること③まちの歴史を尊重すること、の3つです。また、事業を始めるにあたって自分達は「ビジョンの実現」を肩代わりしているだけということを意識しました。開発や再投資をする中で「お金中心で考えると」とどうしても投機的な期待を持ちやすくなるのは仕方ないところです。しかし、仕方ないとあきらめず、まち開発の仕組みとして「不動産とお金を循環させ」ながら、投機的な態度や目的ではなく「まちへの投資」と考えてくれるような善意の投資家(=元オーナーの知人・友人、地縁の人、その周辺の人々)を集めることで、龍野のミライの在り方、こうありたいという「ビジョン」に共感する人を集めることに徹しました。ムカシとミライを繋ぐ取り組みから成果を見せ始めた不動産事業まち開発の中では、若手VS長老という関係が生まれがちです。こうした場面でもムカシとミライを繋ぐ姿勢が大切だと畑本さんは考えます。言い換えれば、先人の功績をきちんと評価し否定せず活かしてゆくという姿勢を保つことです。100年前の仕掛けを受け入れ、100年後に向けて新たな種を埋め込むという意思決定をしているかを自らにも常に問いかけています。そうした考え方と実践を通じて、2015年から2021年の6年間で、管理物件は70件以上になり、転貸契約30件を数え、龍野の街に新規の事業が30軒ほど出店されました。これを投資額に換算すると約3億円を呼び込んだことになります。新しい不動産業への進化を目指す方へ。おすすめポイントはココ。■収入基盤としての管理手数料入■龍野というローカル・スモール地域での不動産開発利益■事業の開発、挿入による事業収益 可能性。キャッシュポイントを増やす繰り返しになりますが、70件以上の管理物件は次なる機会を生み出します。また、30件の転貸契約は賃貸収入をもたらし、龍野の街中に誘導、挿入した新規事業に関わる収益も加わるようになりました。不動産の維持管理、運用によって生じる収益機会を拡大、活かしていることがよくわかります。こんな人はぜひ誰にでも自分が関わった地域、自分の生まれ育ったエリアがあります。その場所への「愛」=関わりを持ちたい、その場所がいつまでも活気ある場所であるように何らか関わりたい、と思う人は少なくないと思います。しかし「好き」「やりたい」だけではことは始まりませんし、仮に始まったとしても長続きしません。畑本さんは不動産業の外にいた立場から、好きややりたいをお金に変える力を持つ産業が不動産業だと考え、業界に飛び込んできたとも言えます。今はまだ起業したばかりで小さい、業界は初めてという方にとっても、もちろんベテランの方にとっても、どちらにとってもスモール&ローカルの開発や転貸事業、物件管理という領域はビジネスチャンスになるし、成長可能性が高い仕事だということを畑本さんの取り組みは示していると思います。もっと深く知りたい方は、登壇動画も合わせてご覧ください