※記事は、2024年4月22日に実施した、4月分科会の事前インタビューを基にまとめたものです。 

 

#新しい不動産業研究所とは


新しい不動産業とは何か。この研究所ではソーシャルキャピタルつまり人と人との関係性やその関係性がもたらす価値を、地域の不動産価値の最大化に反映してゆくことができる事業者であり産業であるというビジョンを掲げています。
そうした考え方に共感し実践する事業者が繋がる場として立ち上げたのがこの研究所です。不動産事業に取り組む企業や個人が従来の取り組み領域だけにとらわれず(業の領域拡大と呼びます)、オーナーや使い手さらには地域市民からの共感を得て協働しながら事業を進める(業の民主化と呼びます)ことができる事業者へと自身をアップデートするために仲間が集い知見やノウハウを高めあう場です。


不動産業がしたい、ではなくホームタウンを元気にしたい


「そもそも自分は団地生まれ団地育ち」というフロッグハウスの清水さん。
清水さんと団地の関わりは、賃貸テナントが抜けた後の原状回復工事の施工を仕事としたことから始まったそうです。そうした工事に関わる中で、目の前にある団地が「資源」、しかも「眠っている資源」と見えてきた時、団地に自分が何かをしたいそんな気持ちが起こったそうです。
施工請負をしている清水さんが新しい事業の対象として団地を使って何ができるか?を考え始めた際、自分がいくらやりたいことでもビジネスとして回らなかったら意味がないということだけはしっかりと考えたそうです。

ビジネスとして回らないと意味がないとしたら自分はどうするのか。清水さんは「連携」「餅は餅屋」という発想でそれを乗り越えようとされています。清水さんは「不動産売買を業としてやっていきたい、いわゆるワンストップ型の施工兼不動産業を別に目指しているわけでもない」と言います。それは「大規模団地はそもそも数があるがゆえにポコポコ作ってポコポコ流していかないと一件やってどうだ!と言っていてもキリがない」といいます。なぜポコポコしなくてはならないか。その根底には「ホームタウンだからなんかほったらかしされるのが嫌、みたいな方が大きい感じ」という気持ちがあるからと言います。


リノベーション企画の出発点が違う
買えるかが起点ではなく、誰にどう住んで欲しいかが起点


清水さんの取り組みの中で、団地の一角にあるメゾネットタイプ住戸のリノベーションの話を伺いました。その商品化を企画する際に「メゾネットって言っても上下階で40平米しかない住戸で、元々ファミリー世帯用の住戸だからという発想を捨てて、シングル決め打ちでやった」という話です。
その背景にある清水さんの視点とお考えは新しい不動産業を目指す仲間であるみなさんにも共感できるものだと思いました。
清水さん曰く「行政の方はすぐファミリー世帯を呼び込みたいみたいな話をします。でも子育て世代というターゲットはもう日本中で奪い合いですから、40平米や50平米のスペックで呼び込むのも厳しいと思うわけです。それだったら30代、40代、50代のシングル世帯や方に住んでいただいて、30代なら家族ができたら、50代なら10年20年後にリタイアした際に売ったり貸したりしたらいい。それを前提に売ったり貸したりしやすいように仕上げておけば資産として回していけませんかと考えています。」と言います。
つまり、今の商品が売れるかどうかという売り値から逆算した企画ではなく、買った後にどんな人にどう住んで欲しいかっていうところから逆算する企画だと言います。スタート時点が違う感じです。


以下のリンクにある「会員限定」動画では、当日のお話をより詳細にお聞きいただけます。
続きは、会員登録をしていただき限定動画でご覧ください。

 

分科会フル動画はこちらから↓
https://atarashi-fudousan.jp/properties/228

■フル動画チャプター
0:00オープニング
06:25フロッグハウス取り組みご紹介
24:55団地再生買取再販ファンドのプロジェクト
(明舞団地・狩口台団地)
40:35買取再販事業に取り組んだきっかけ
46:00リノベの勝ちパターン
(マーケットアウト・ターゲットを変える)
51:20設計施工業が宅建業を取得する意味
55:25質問
56:35市営団地の買取再販に対する活用方法が見いだせない
~物件の目利き・要素~
01:04:10団地ビジネスの可能性・団地のポジティブな要素
01:09:05団地でリノベコーポラティブの可能性はあるか?
01:19:00明舞団地買取再販ファンドの仕組み・アライアンス
01:31:16事務局よりお知らせ

■フル動画キーワード
・団地のターゲットをファミリーから変える。マーケットアウト。
・マーケットを変えるきっかけは、施工のお客さんのダイレクトな意見から?
・リノベの勝ちパターン。マーケットアウト。
・世の中の人がこうしたいということをダイレクトにキャッチする
・団地リノベをポコポコ回していく方法
・団地のポジティブさ。隣棟問題。1階でも部屋の前にあれだけの空地がある。

■株式会社フロッグハウスとは?
https://froghouse.top/

<フロッグハウス受賞歴> Renovation of the year
https://froghouse.top/award-media

 

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矢部智仁 (やべ・ともひと)

#新しい不動産業研究所 所⻑
合同会社 RRP 代表社員
東洋⼤学⼤学院 公⺠連携専攻 客員教授
1987年株式会社リクルート⼊社、住宅情報部⾨に配属。2009 年からリクルート住宅総研、 所⻑として業界動向の調査、ロビー活動に従事、⾏政設置委員会の委員等を歴任。
2014 年に建設・不動産業界を顧客とした経営⽀援コンサルタント企業に移り、地域密着企業の⽀援に携わる。
2021 年から合同会社 RRP 代表社員。 東洋⼤学⼤学院客員教授(PPP ビジネス担当)、公益社団法⼈ ⽇本不動産学会監事、国⼟交通省 PPP サポーター。